肝炎は、侵入して来たウイルスを退治しようと、体の免疫システムが激しく反応し、肝臓に炎症が起こる病気です。病原体は、ほとんどが肝炎ウイルスです。急性・慢性がある。急性肝炎は、肝炎ウイルスに初めて感染して発病する肝炎ですが、肝炎ウイルスのほか、たまに、風邪のウイルスが原因になることもあります。このタイプの肝炎は、治療さえすれば、数ヶ月で治るのが普通です。一方、慢性肝炎は、感染した肝炎ウイルスが完全に消滅せず、肝炎が長引くもので、治りにくい場合が多いタイプです。
肝炎のウイルスには、A型、B型、C型、D型、E型などの種類がありますが、D型とE型は、日本ではあまり見られません。慢性肝炎の原因になるウイルスは、そのうちのB型とC型です。B型は、子供が感染すると慢性化する可能性が高く、大人が感染してもあまり慢性化しません。以前は、出産のときに母親から子にB型ウイルスが感染し、その子がある程度の年齢になってから発病して、慢性化することがよくありました。
免疫力が充分でない幼児期には、B型ウイルスが侵入しても免疫システムの反応が起きないため、肝炎にならずに、ウイルスが体内に棲み着きます。その後、成長して大人に近づき、免疫力が付いてくると、体内のウイルスに免疫システムが反応し、肝炎が発病して慢性化することがあるわけです。ただし現在は、出産時の感染を予防する方法が開発され、その数も減っています。
C型のウイルスは、大人が感染した場合にも高い確率で慢性化します。慢性肝炎の大部分がC型肝炎です。慢性肝炎の症状は、食欲不振、倦怠感、黄疸などですが、自覚症状がなく、本人が気づかない場合もあります。しかし、慢性肝炎は、放置しておくと肝硬変に移行する可能性が高い病気です。健康診断を怠らず、早期発見、早期治療が大事です。