病状が安定的か進行性かの確認。慢性糸球体腎炎には、病状に目立った変化がない安定的なものと、だんだん悪化している進行性のものがあり、それぞれ対処法が異なります。病状が安定的で、多少のタンパク尿や血尿は出るが、目立った自覚症状はなく、腎臓の炎症も軽い場合は、患者自身が塩分の摂り過ぎや風邪、過労などを避けることが主な対処法になります。医師はその患者の自己管理をアドバイスなどで支援し、定期的に検査をして病状を監視しながら、好転、治癒を待ちます。進行性のものは、放置しておくと腎機能がだんだん低下し、タンパク尿や血尿がひどくなるほか、むくみ、高血圧などが現れてきます。この場合は、個々の患者に適した本格的な食事療法に加え、薬物療法も適用する積極的な治療が必要になります。こうした対処法の相異があるため、慢性糸球体腎炎は、診療の初期に、病気がどちらの状態なのかを確かめる必要があります。

具体的には、まず問診で、健康診断の結果などを確かめ、次いで尿や血液を調べる背機能検査、起音波検査、血圧測定なとで病状の変化を確認し、安定的か進行性かを診断します。病状が進行する可能性の確認が大切。慢性糸球体腎炎の中には、当面、病状が安定していても、間もなく進行、悪化し始める可能性の高いものもあります。そのために病状が安定的か進行性かの検査で、安定的と診断されたものでも、進行し始める可能性を確かめる必要があります。可能性が高い場合は、進行を予防する積極的な治療、つまり、進行性のものとほぼ同じような治療が必要になります。病状が進行し始める可能性は、糸球体の組織の検査(腎生検)や尿検査で、かなり的確に判断できます。

腎生検で組織所見が悪かった場合、例えば炎症を起こしている糸球体の細胞が塊(半月体)になっているほど多く発見された、あるいは潰れた糸球体が確認されたといった場合には、病状が当面は安定していても、間もなく進行し始める可能性が高いと言えます。