上昇すると血栓、低下すると出血。
フィブリノーゲンは、血液凝固第1因子とも呼ばれるように、止血作用に欠かせない働きをするタンパク質です。ふだんは血漿中に溶け込んでいますが、出血があると血液凝固因子が連続反応的に作用し、最後にフィブリノーゲンがフィブリンと呼ばれる網状の固まりに変化して、血液を固まらせます。フィブリンが一定量を超えると、血液中で今度はこの線維を溶かす作用が働きます。この巧妙なバランスによって、血液は血管に詰まることなくサラサラと流れ、しかも必要な時には固まって出血をくい止めることができるわけです。
ところが、血液中のフィブリノーゲンの濃度が著しく変化すると、このバランスが崩れてしまいます。すなわち、フィブリノーゲンが60mg/dl以下に下がると出血しやすい傾向が生じ700mg/dl以上になると血栓(血液の固まり)ができやすくなります。脳梗塞や心筋梗塞などの血栓性疾患では、フィブリノーゲンの著しい上昇がみられます。劇症肝炎や肝硬変などの重症の肝障害の時には逆に低値になります。
- 数値が低い場合 劇症肝炎・肝硬変など
- 数値が高い場合 脳梗塞・心筋梗塞・ガン・炎症性疾患・ネフローゼ症候群など