肺機能の異常をグラフで知る。
肺や呼吸器の検査には、胸部X線検査が欠かせません。しかし、X線撮影では肺の形状や容積は分かっても、機能までは分かりません。そこで肺活量を始めとする肺機能検査が並行して行われます。
肺機能検査は、以前はスパイロメーターという器械に息を吹き込んで数値を読み取るだけでしたが、最近ではコンピュータ—を接続することにより、肺活量や1秒率むろん息を吐くときの空気の量と出て来る速度を横軸や縦軸にとって自動的にグラフ化して記録できるようになりました。このグラフに描き出される曲線を、フロー・ボリウム曲線と呼んでいます。肺機能が正常な場合は、グラフの曲線は一気に上がって、その後、直線的に下りてきます。つまり最初の約1秒間で吐き出される速さがピークに達し、その後は時間の経過に比例してきれいに減ってくるというわけです。
ところが、例えば肺気腫の場合は、カープの山が低く(1秒率が低く)、下降曲線が下にたるんだ形(ピークのあと、吐く息の速さが急速に低下して、その後だらだらと横ばいに続く)になります。
また肺線維症の場合は、下降曲線が急傾斜を描くという特徴があります。