骨の種類により成長に差が生じるのは、骨の生い立ちの違いからくるものです。頭の骨はもともと、脳の周囲をカプセル状に取り巻く硬い線維からなる膜が、石灰化して骨に変化したものであります。従って頭の骨が形成される過程は「膜性骨化」と言われます。膜性骨化では、線維でできている膜にカルシウムが沈着して骨を作り上げて行くので、骨の形成・成長はゆっくりです。このため幼児から大人になるまでに身長が2~3倍になっても、それに比例して頭はさほど大きくならず、頭の骨は成長が遅い骨の代表格となっています。
このような骨の成長の遅さは、骨折した際の回復の悪さにも関係します。頭の骨が折れた場合、なかなか融合しません。また開頭手術で頭の骨を何平方センチか切り取って脳の治療をした後、切り取った骨で再びカバーする代わりに人工の骨をあてがうことが多いのも、頭の骨の癒合が悪いためです。顔や頭の成長は、目のずっと後方に位置するトルコ鞍という部位を中心にして、前方、上方、後方、下方、そして額の方向に成長します。