頭の骨に比べて手や足の骨は、かって人間の骨でも長笛として使われていたことがあるように、長い管状の形、長管骨を成しています。長管骨は頭の骨と違って、成長期において骨の端近くにある成長軟骨層で長く太くなって行きます。その部位では先ず軟骨が作られ、それが骨に置き代わるといった骨形成が行われるが、これを軟骨性骨化と言います。
長管骨の両端で、鉄アレイのように球状に太くなっている部分に成長軟骨層が存在し、成長軟骨層では、次々と作り出されるカズノコの粒のような軟骨細胞が何層にも積み重なっている。そこで古い軟骨細胞がどんどん死んで行き、死んだ軟骨細胞の廻りに大量のカルシウムが集まります。このようにして成長軟骨層で行われる軟骨性骨化は、能率よくカルシウムを集積して骨を形成していくので、この骨化が行われる骨は成長が速く、骨折の修復も迅速であります。頭の骨、そして鎖骨の半分を除く人間の骨格は、全て軟骨性骨化で形成されて、その典型的な骨化は下肢の大腿骨・脛骨など、上肢の上腕骨・橈骨などの長管骨に見られます。
これらの骨は2歳から12歳にかけて、大腿骨では5倍、31cmの増加、腓骨でも5倍、25cmの増加といった具合に飛び抜けて長くなります。次いで、脛骨が4.5倍、25cmの増加、上腕骨が4倍、19cmの増加、橈骨が3.5倍、14cmの増加、尺骨が3倍、16cmの増加と、頭の骨に比べて桁違いに大きくなります。
手足の骨は生後、成長と共に長さで3~5倍にもなる点で頭の骨とは異なります。ちなみに、顔や顎の骨の成長は軟骨性骨化によるので、頭の骨より大きくなりやすいのです。