体重をかけると骨が強くなる事実は疑う余地はないが、何故強くなるのかについては完全に解明されていません。しかし骨を溶かしたり作ったりする細胞が関わっていることと、骨の中に在るコラーゲンと言うタンパク質の線維が関わっていることの、二つは明らかになっています。骨に体重をかけないと、骨を溶かす細胞の働きが、作る細胞の働きよりも優ることは知られています。これは交通事故などで急に動けなくなり、安静臥床を余儀なくされた人の骨を顕微鏡で観察した研究では、数時間臥床状態を保つだけでも骨を作る働きが低下し、数日後には骨を作る働きが半分以下になったとの結果が出されています。

また、骨に負担をかけると骨の中の血液の流れがよくなり、それが骨を強くするものと考えられています。血液や細胞に関わって骨が強くなる以外に、骨を圧迫すると弱いマイナスの電位が発生して骨が強くなる現象も分かっています。骨を折り曲げたりすると弱い圧電位が発生する、この骨の電位については、生きている骨だけではなく、死んで乾いた骨でも圧縮力を加えれば電位が発生することから、その原因として、骨の中に埋没しているコラーゲン線維がねじれるためであるとか、骨のカルシウム結晶のためであるなどと種々な説明がされています。

いずれにしましても、圧迫されると骨にはマイナス電位が発生し、伸ばされるとプラスの電位が発生することは間違いありません。マイナスの電位は血液中のプラスのカルシウムイオンを引き付けるため、骨に血液中のカルシウムが結合しやすくなります。とは言っても体液には塩分が多く、発生した弱い電位などはすぐに流れ去って消失してしまうはずではないか?また圧迫されると続いて必ず圧迫解除の状態になるが、その際に一度結合したカルシウムが離れてしまうのではないか?などの疑問が出され、未解決な機構も残されています。