タンパク質の行う最も重要な仕事は、特定の化学反応の速度を速める事と言えます。化学的『触媒』としてのこの仕事の、タンパク質が加速するこうした反応は、化学的な素材を、生きている細胞の様々な部品に変えるのになくてはならないものです。タンパク質の助けがなければ、これらの反応は無いに等しい速度でしか進行しないでしよう。この重要な触媒作用を担うタンパク質は、『酵素』と呼ばれています。生きている細胞の中で進行する化学反応は、事実上全ては、酵素によって触媒されています・そして、一個の細胞にしろあらゆる生物にしろ、全てはこうした化学反応の結果生じるものです。つまり、酵素は、生命のない物質原子を組み立てて生命体を造り上げる分子だと言えます。
しかし、重要なタンパク質は、酵素だけではなくて、例えば『細胞骨格』と呼ばれている細胞内の『骨組み』~細胞核~細胞質(細胞内小器官オルガネラ~サイトゾル等々)にニ重構造層の細胞膜等の運動を可能にしている筋繊維のような、構造的に大切な役割を果たしているタンパク質もあります。細胞膜内に存在していて、各種の原材料物質を細胞内へ取り込んだり、不要物を細胞外へ排出したり学物質を輸送する運搬車として働いているタンパク質や、細胞と細胞の間で科学的なメッセージを伝えるものもあります。
すべての細胞には、多数の遺伝子を含むDNAがあることは前述しましたが、その一つ一つの遺伝子は、親戚筋に当たるRNAという核酸でできた自分自身のコピーを介して、特定のタンパク質の合成を受け持っています。遺伝子によって産生された『暗号化されているタンパク質分子』は、細胞の構築と維持を行っています。このため必要となる化学反応を触媒する酵素として働くといったような、色々な形で、その役割を果たしています。
細胞が生きているのは、生きるために必要なタンパク質を暗号化した遺伝子を持っているからです。細胞の形と活動は、その中に含まれているタンパク質によって定められていて、元をたどれば、その細胞に含まれている遺伝子によって決められています。
何百種類の異なった型の細胞が、心臓循環系、肝臓、胃、腸、各種臓器、一対の腎臓や眼というように、各種の組織や器官になるようにうまく配置されていて、それは、神経系・肺・筋肉・骨格等々も同様で、それらの全体と場所、数等が調整されて、これらが一体と成って働くと新生児は手足をばたつかせ産声上げて、この世への誕生を告げます。