免疫系細胞は、多様な認識構造としてのT細胞レセプター (TcR) や免疫グロブリン(Ig)を持っている細胞群です。
T細胞、B細胞のほかに、ナチュラルキラー細胞やマクロファージもあります。さらにT細胞には、CD4型とCD8型の細胞があります。CD4型に属するいわゆるヘルパーT (Th)細胞には、インターロイキン2 ( IL2)を作るTh1細胞と、IL4やIL5を作るTh2細胞の亜型があります。
こうした細胞が次々に死に、作り出された細胞は、すぐさま自分が参加した『自己』という環境に適応し、大部分は働く機会もないままにそのまま死滅するが、一部分の細胞は刺激を受けたのち強力なメンバーとして生き続けます。そのメンバーを決定するためには、その時々の『自己言及』による選択以外には何のプログラムも存在しません。
このようにして、『自己』の反応性、すなわち『自己』以外のあらゆるものと対応し得るというレパートリーが作り出され維持されます。しかも、『自己』が経験した様々な記憶は、レパートリー内に記録され、ファイルされます。超システムとしての免疫系の『自己』は、このようにして維持されているのです。
超システムの特徴の一つは、常時破滅の危機を内包していることです。サプライが無くなれば、いずれ不連続的に崩壊するしか無く、過剰のサプライによっても、超システムは働かなくなります。構成要素である一つの変数の一定以上の変化や消失が、自己言及的に全体の崩壊を招きます。そういう意味で、免疫系の老化は、超システムなるものの崩壊過程を考えるよいモデルともなります。