生殖年齢が終わると、プログラムされたように自己組織化の働きを低下させ、運命的に退縮して行く胸腺。その縮小の効果が現れるまでには長い時間がかかるが、やがて時限爆弾のように超システムを崩壊させます。それは、一方的に自滅的で、いまのところ防ぎようがありません。しかもそれが、自他の識別という、生物個体の自己同一性に関わるところから、胸腺の退縮は深刻です。
胸腺のプログラムされたような退縮は、必ずしも哺乳動物だけに見られる現象ではない。寿命が最長5年のメダカの老化は比較的ゆっくりと起こるが、ここでも最もはっきりした老化のパラメーターは胸腺の重量です。まるで予定されているように、胸腺が加歳とともに小さくなって行くことが測定されています。メダカの他の膝器では、こんな規則的な老化による変化は起こりません。胸腺は、発生学的には、メクラウナギやヌタウナギなどの円口類から現れます。この辺りから同種移植片の拒絶を含む、如何にも免疫らしい生体防御民応が現れます。サメなどの硬骨魚類から抗体も作られ、やがて哺乳動物のようにT・B細胞系相互関連した免疫超システムが形成されます。