心身の健康について、『生活習慣と免疫力』と言うことを考えますと、その生活習慣のそれぞれの時間が、体内の恒常性を始めとした機能活動の免疫力との間に起こる相関関係の中に、常日頃は気付かれながったものを知ることができます。何を、どう考えるか?が、知識を知恵に育ててくれます。今日は、その心身健康への知恵の材料についてお話させて頂きます。
人は、どんな人でも、例え重病人であっても、年齢・性別・職種に関係なく (但し、その強い弱いは在りますが)自己治癒力としての免疫力を持っています。
その免疫の中枢臓器は、心臓の上に乗っている白い房のような胸腺と言う臓器ですが、その発生時期は妊娠2~3ヶ月の胎児の頃にでき上がり、免疫細胞・リンパ球(T細胞・K細胞・NK細胞・ファジー細胞・白血球等の、体内での非自己直接攻撃型と、非自己間接攻撃・グロビンと言うタンパク質を非自己へミサイルのように発射して間接的に攻撃するB細胞とがあります)の教育訓練を行い、身体中のリンパ節やリンパ装置へ配属・巡回等の生体免疫防衛システムに参画している重要な臓器で在ります。
その発生の妊娠2~3ヶ月の胎児の頃に、体内にT細胞がバラまかれ始めます。胸腺は英語でThymus、その語源は動物の胸腺を焼くと、料理に使う香ばしい香料であるThymeの葉のニオイによく似ているためと言われています。一般に細胞の分裂の激しい所ほどDNAの量が多く、当然、睾丸や卵巣次いで肝臓や腸管にもDNAが多く、そのDNAの豊富な臓器は焼くといい匂いがします。胸腺は身体中で一番DNAが多く、最近、T細胞が胸腺で育って行く過程が細かく解って来ましたが、そのでき方には何故か無駄が多く、分裂をしてたくさんできたT細胞のうち、実際に胸腺の外に出て活躍できるT細胞の数は知れています。
幹細胞が胸腺に入って行く入学試験はともあれ、胸腺と言う環境下でT細胞が教育され試験に合格して、卒業して出て行けるのは全細胞の1~2 %と言われています。ほとんどの細胞は不合格のために胸腺の中で死んで行くのです。この胸腺という臓器の中で起きている厳密な選択機構の仕組みが、最近、明らかになって来ました。選択、すなわち卒業試験が厳格ではなく、いい加減であればあまり程度のよくないT細胞も外に出ることになります。そうするといつしか、その働きのルーズさのために自己と非自己も分別できなくなり、そして、そのリンパ球が自分と反応してしまうことになりかねません。結果として自己免疫病を引き起こすことも考えられます。