体内に侵入した有害物をリンパ球と好中球が退治した場合、その後もリンパ球は、このときウイルスの出した毒素を記憶し続けます。またウイルスの増殖が早く、薬の力を借りたときも同様に記憶し続けます。そしてこの毒素の記憶は新しく生まれてくるリンパ球にも伝達されます。このため、再び同じ有害物に襲われたときには素早く発見して、増殖する前に退治するので発病が免れられるというわけです。これを免疫と言います。一度はしかにかかると、再びかからないのもこのためです。

有名なウルシかぶれの実験の話があります。ウルシの木の下を通るとかぶれが出る人に、センダンの木だといってウルシの木の下を通らせるとかぶれは出ない。逆にセンダンの木の下をウルシの木だといって通すとかぶれが出てしまう。皮膚の局所では立派な接触皮膚炎という免疫症状を起こしてしまう話ですが、こうした精神作用を応用して、ある程度のアレルギーを治すこともできれば、悪くすることもできます。

卵や牛乳アレルギーにしましても、ほんとうに因果関係を実誦されないものも多くあります。アレルギーを起こす人と起こさない人を、調べられる科学的な方法、例えば抗体量等で客観的に確実に予言することは不可能です。いま、アレルギー症状のすべての機構を分子、遺伝子レベルで解明する研究が盛んですが、まだほんの一部の説明しかできません。

しかし免疫の主役は、言うまでもなく体中をぐるぐる巡っているリンパ球であります。