私達人間は自分の情緒を、観察した現象を分析し、合理化し、概念化する能力を調和させることができる。森の地面に木が倒れて出る物音を聞いた時、これらの物音が実際に存在するのか、または自分の心の中にのみにあるものかを自問することができる。私達は偶然その場におり、聴覚でその音を聞き、それは脳の機能に複雑に連携しているのである。
私達が起こると信じるように、実際に物事は起こるのか?
45億年前に地球ができ、一連の絶えず変化する過程が少しずつ始まり、35億年前に最初の有機的な生命体が誕生した。進化によってこれらの原始的生命体はゆっくりと進歩して多くの植物や動物となり、地球上に住み着いた。それらのあるものは、今は絶滅しており、化石でしか観察できないが、現在まで生存しているものもある。進化のピラミッドの頂上に最も精巧で精緻な思考過程を持つ人類がいる。このことから、私達は、現存する生物は遺伝と環境との複雑な相互作用の結果であると主張することができる。
生命現象は、生物特有の多数の生化学反応に基づいている。私達は自らが作り出した手法を駆使して、病気、行動、学習、記憶、アルコール中毒、薬物中毒への耐え難い欲求、情熱と快感などがどのような生化学的基盤に基づいているかを理解し始めようとしている。
しかし岩石と水の無生物の世界から生物の世界への質的飛躍、下等動物から人間への質的飛躍を説明できるような単純な決定論的な宇宙観はない。私達が直面している最大の科学的課題はニつある。一つは生命現象の根底にあると思われる「生命力」の実体を探ることであり、第二は人間の思考過程すなわち精神現象を理解することである。
今日の科学・科学者は、個々の限られた発見を普遍的な理論に統合し、その専門の分野における進歩を宇宙の青写真と言う、より一般的な枠組みの適当な位置に置こうと努力しているように思われる。分子生物学者や分子遺伝学者は生命現象の根底にある遺伝子の複雑さを解き明かすことにエネルギーを集中している。しかし、今日では分子生物学や遺伝学はもはや単なる理論や知的興味の対象だけではなくなっている。これらは私達の日常生活に、実際の医療に、病気や行動の理解に直接応用されている。
私達は、あたかも時限爆弾を取り扱うように、生殖の革命を取り扱おうとしている。体外受精と遺伝子操作が組合わさると、意のままに胎児を変えてそれに望み通りの性質を与え、そうすることによって「献立表通りの」赤ん坊を造る~深刻な感情的論争を呼び起こす厄介なハックスレイ主義者の因式~ことができる未来が見えている。