敵意が起こす狭窄。狭心症の危険因子として高血圧や高コレステロール血症、糖尿病などがありますが、ス卜レスも無視できない因子の一つです。狭心症と情動ストレスの関係については、これもまた昔から知られています。ストレスによって心拍数が増え、血圧が上昇してしまうことによって、心臓の仕事量が増加して酸素の必要量が増えてしまい、心臓が酸素不足になってしまうために、胸痛が出現するようになります。

 

性格の特徴としては、「A型行動様式(タイプA)」との関連が有名なものです。タイプAの行動様式というのは、非常に競争的で野心家であり、しゃべるのが早口でしばしば他人の話を遮り、敵意を持ったり怒ったりすることが非常に多いというようなタイプです。対照的なB型行動様式の人(穏やかであり、ストレスに対して消極的で穀の中に閉じ込もる)に比べて、2倍から3倍も狭心症の発生頻度が高いことが明らかになっています。

 

デューク大学ウィリアムズ博士らは、タイプAの性格の「気短・野心・敵意」の中でどの要素が最も心臓病に影響を与えるか調ベたところ、「敵意」の項目の点数の高い人は低い人よりも2倍も冠動脈狭窄があることが分かりました。また怒りの時は交感神経が興奮して副腎からアドレナリンを放出させ、このアドレナリンが血小板を血管に粘着しやすくさせたり凝集しやすくさせるために、血管に狭窄ができやすくなることが分かっています。