動脈硬化かどうかは肉眼で観察できる。正常値KW0度。
動脈硬化の診断には目の底をのぞく検査が欠かせない。眼底(網膜を中心とする組織)は全身で唯一、医師が肉眼で血管の状態を観察できる場所です。正常な時の眼底細動脈の走り方には、一定のパターンがあります。この細動脈に現れた硬化、狭小化、出血などを詳細に観察すれば、動脈硬化ばかりでなく、高血圧、腎臓病、糖尿病などによる血管障害の進み具合を知ることができるのです。眼底検査は、約15倍の拡大率の検眼鏡を手に持って行います。しかし人間ドックなどでは、より簡便な方法として眼底カメラが用いられています。動脈硬化や高血圧の進行度については、一般にキース・ワグナー(KW)と呼ばれる0度からIV度までの分類法が用いられ、KWIIなどと表記します。KW0が正常で、KWIII以上は動脈硬化がかなり進行していると考えなければなりません。また糖尿病や賢臓病による網膜症については、スコットらによるI期からVI期までの分類法が用いられています。I期が軽い初期症状で、V期以上は視力障害の危険があります。