数々の議論を呼んだ体外受精も、現在では多くの症例の積み重ねによって、技術的な問題点を残しながらも、不妊症の「治療方法」として一応、社会的に容認されたかに見える。
日本産婦人科学会のガイドラインなどにより、体外受精の適用は正式に結婚した夫婦で、しかも夫の精子と妻の卵子を用いる場合に限る、という歯止めがかかっている。
人工心肺によって心臓は未だ動いててるが、脳(大脳だけでなく小脳も脳幹も含めて頭蓋骨に納まっている全ての脳)が全く機能を失い、しかもそれが元に戻ることは決してない不可逆的伏態を「脳死」正確には「脳幹死」と呼ぶ。
この状態では人工心肺によって心臓は動いても、脳幹の機能停止によって自発的呼吸機能は失われているので、患者を生き続けさせるためには人工呼吸器を使う必要がある。
この場合、動いている心臓も短時日のうちに必ず停止してしまい、従来の死の概念である「心臓死」に至る。つまり脳幹死はもはや蘇生の望みが断たれた「事実上の死」ということになる。意識もなく、自分で呼吸しているような植物状態とは全く異なるものである。
脳幹死は実は近代高度医療技術の造り出した人工産物とも言える。脳幹死患者は人工心肺器が無い時代には存在して居なかった。