早い人では40代に入った頃から、肩のあたりに鈍い痛みが起こり、腕が上がらなくなったり、腕が後ろに回らなくなったりすることがあります。日常生活にも支障をきたす困った症状ですが、50歳くらいになるとよく出てくることから、一般的に五十肩と呼ばれています。ある日突然、症状が出てくることもあれば、少しずつ痛みが増してきて、ついにはまったく腕が上がらなくなることもあり、症状の現れ方は人によって様々です。
また痛む期間も半年から1年くらいと色々あり、ある時期を過ぎると自然に痛みがおさまってくるのが普通です。正式には、肩関節周囲炎、もしくは肩甲上腕関節周囲炎といいます。この名前から分かるように、肩関節の周囲に炎症が起こり、こうした症状が現れて来るのです。一般的に老化現象の一つです。
肩関節は、肩甲骨に上腕骨がぶら下がったような形になっていて、腕に複雑な動きをさせるたくさんの筋肉がついています。このほか、関節をなめらかに動かすための色々な組織があるわけですが、加齢に伴う現象なので、だれにでも起こる可能性があります。普段から肩を適度に動かして血行をよくすることが、予防につながります。そして時々自分でチェックし、なるべく軽いうちに発見して治療するようにしましょう。
長時間同じ姿勢でいると肩が凝る。肩凝りは私達にはおなじみの症状と言えるでしょう。長時間同じ姿勢でいると、首筋から肩にかけての筋肉の緊張が続いて血行が悪くなり肩が凝ってきます。例えばパソコンに向かっての作業が長時間に渡った時などに肩が凝るのはこんなメカニズムによるものです。ストレスなどで精神的な緊張が続くと、知らず知らずのうちに体がこわばり、自然に肩に力が入っています。これも肩凝りの原因となります。
また、内蔵の病気などで肩凝りが起こることもあります。自分の症状をよく観察して病気の治療を先に行わないと、肩凝りから解放されません。肩が凝ったと自分で感じた時は、お風呂やシャワーなどで凝った部分を温めて血行をよくするようにします。凝りがひどい時は、温めたり冷やしたりを交互に繰り返すと効果があります。慢性化して、どうしてもがまんができないような時は、整形外科で受診する。
高齢者で、手足のしびれを伴って肩凝りがひどくなったと言う場合は、頸椎の老化が考えられます。頸椎は脊椎の一部で、のどから首のあたりに位置しており、椎体という骨を幾つも重ねた形をしています。そして、椎体と椎体との間には椎間板という軟骨があります。椎間板は、骨と骨との間にあってクッションの働きをしています。老化のためこれが水分を失うと薄くなって弾力がなくなり、椎間板症という異常な状態になった結果、わずかなストレスで肩凝りが起こってくるのです。
さらにこれが進むと、手足のしびれを伴うことがあります。これが、変形性脊椎症で、頸椎の骨に刺ができ、それが脊髄を圧迫するためにしびれが出て来ます。症状がひどい時は、整形外科で診察を受けて下さい。頸椎への負担を軽減する治療を行うことで、肩凝りが楽になってきます。