普段は、自分の心臓が打つ鼓動を意識することはほとんどありません。これが何か不快なものとして、強く意識される場合を動悸と呼びます。運動や精神的緊張などによっても動悸を感じますが、そうした要素がないにも関わらず動悸を感じる時は、そこに何か病気が潜んでいるおそれがありますから、注意が必要です。
その原因として、一番多いのが不整脈です。通常心臓は規則正しいリズムで拍動を繰り返し全身に血液を供給しています。その時、心臓に「収縮せよ」という命令(電気刺激)を出しているのが右心房に在る洞結節という発電所のような細胞で、この刺激が電線を伝わるようにして心筋に達します。そして刺激を受けた心筋が収縮することで、心臓が拍動します。この電気的刺激が伝わる経路を刺激伝導系といいますが、ここに何らかの異常が生じて、電気刺激が出なくなったり、伝わり方が遅くなったりすることがあります。また、本来なら電気刺激の発生するはずのない、洞結節以外のところから電気刺激が出ることもあります。この場合には、本来の心臓の収縮以外に心臓が収縮するので、期外収縮と呼びます。これらの結果、心臓の拍動が速くなったり、遅くなったり、余分に脈を打ったり、飛んでしまったり、ということが起こります。これが不整脈の正体です。