腹部の何処が痛むかで病気を判断する。腹部と言っても範囲は広く、腹痛を引き起こす病気もいろいろあります。そこで通常は、おへそを中心にして七つの部位に分け、どの部分が、どんな具合に痛むかによって、その痛みの原因が何であるか、だいたい見当をつけていきます。
みぞおちが痛いと言うと、すぐに胃炎を連想するかもしれませんが、胆のうや膵臓の病気、狭心症や心筋梗塞の放散痛によってもここが痛むことがあります。
右上腹部であれば胆石症が疑われ、多くの場合は黄疸や発熱などを伴います。また、十ニ指腸潰瘍や腎臓結石などでも、ここに痛みが出て来ます。左上腹部であれば、慢性膵炎や膵臓ガンなど膵臓の異常が考えられます。右下腹部であれば卵巣の異常、あるいは急性虫垂炎(盲腸炎)が、左下腹部であれば大腸の異常が、それぞれ考えられます。
下腹部であれば膀胱炎、あるいは子宮外妊娠など子宮の異常の疑いがあります。そして、腹部の中心部であるおへその周辺は、腸炎などで痛みがよく起こる場所です。このほか腹部の全体が激しく痛む場合は、腹膜炎や腸閉塞が考えられます。いずれも重い病気で、すぐに手術をしなければ生命に関わります。また、痛みの程度も病気によって様々です。
例えば、腎臓にできる結石は、腎臓の中にあるうちはさほど痛くありませんが、尿管という細い管に詰まると、文字どおり七転八倒の激痛が、短時間のうちに背中から膀胱にかけて走ります。一方、同じ場所で痛みが徐々に強くなってきたり、慢性的な痛みが継続する場合は、慢性の病気が進行している疑いがあります。なるべく早く内科を受診する事。