突然の腹痛とともに、激しい下痢、嘔吐、血便、発熱、食欲不振などの症状が現れたら、急性腸炎の疑いがあります。下痢や嘔吐がひどくて体内の水分が不足してくると、生命に関わって来ますので、水分を充分に補給することが大切です。急性腸炎は、大腸か小腸かの一方、あるいはこの両方に急性の炎症が起こった状態で、非感染症のものと感染症のものの二つに大きく分けることができます。非感染症のものには、腸の血管に血栓が出来て血液の流れが阻害され、腸の粘膜に炎症を起こす虚血性腸炎があります。腸の広範囲に起こると腸管が壊死することもある危険な病気。
感染症の急性腸炎の中で最も多いのが、細菌性食中毒です。この原因菌には、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌などがあります。食中毒にかかると激しい腹痛や下痢が起こりますが、水分を充分に補給して脱水に気をつけ、安静にしていればだいたい治まっていきます。しかし、症状が重い場合は抗生物質の服用などによる治療が必要になります。
また、腸管出血性大腸菌にはたくさんの種類がありますが、O-157もこの中の一つ。症状がひどくなると腎臓に障害を起こして生命に関わってきますので、充分に注意が必要です。このほか、コレラや腸チフス、赤痢といった細菌に感染することで、急性腸炎にかかることもあります。熱帯地方に海外旅行する際には、食べ物や水に注意をして下さい。