背中が痛いといったとき、一つには背骨やその回りの筋肉など、いわゆる整形外科的な痛みがあります。その一方で、内臓に病気が潜んでいて、背中から腹部にかけて痛みを感じるという場合も少なくありません。
肝硬変や肝臓ガンなどでは、初期のころはあまり自覚症状が出てきませんが、背中の痛みで発見されることがあります。肝臓は「沈黙の臓器」と言われていて、異常の発見がなかなか難しいのですが、これを一つのシグナルとすることができます。慢性胃炎の場合でも、胃のあたりから背中にかけて、抜けるような痛みを感じることがあります。これと同じような痛みがある時は、胃潰瘍や胃ガンなどの胃の病気、肝臓、膵臓などの病気にも注意して下さい。右上腹部から背中、肩にかけて激痛が突き抜けるような時は、胆石症を疑ってみた方がいいかもしれません。この突き抜けていくような痛み方が、放散痛の一つの特徴と言えるでしょう。背中が痛くて、同時に胸も痛いという時は、胸膜炎、心臓病、肺ガンなどが疑われます。背中の痛みと言っても、背骨が痛いというような時は、胸椎という骨そのものに異常があると考えられます。この場合は、異常のあるところが局所的に痛むのが普通です。更に、背中に鈍痛があるような時は筋肉痛かもしれません。背筋が疲労した状態ですから、マッサージなどをすれば痛みは和らいでくるでしょう。これに対して、内臓が原因で痛みがある場合は、局所的というより背中全体に広がるような放散痛のような痛みを感じ、痛み方に違いが出てきます。自分で痛みの場所やその感じ方をよく観察すれば、それが内臓からくるものかどうか、分かると思います。