排便習慣は個人差が大きく、特に女性では2〜3日に1回という人もいます。このような場合でも、それがその人のリズムになっていて、快適でスッキリした排便であれば、決して便秘ではありません。通常は排便の回数が週に2回以下を便秘とすることが多いようです。慢性のがんこな便秘の中で、最も多く見られるのが、体の排便情報を無視した常習性の便秘です。また、腸そのものの機能になんら異常がなくて便秘を起こすものに、過敏性腸症候群があります。この中には、便秘だけ起こすタイプのほか、下痢だけを起こすタイプ、下痢と便秘を交互に繰り返すタイプの三つあり、慢性の便秘を起こしていて、例え便通があっても、便が船筆のように細くなったり、便に血が混じったりすることがあります。このような症状が出た時、とくに気をつけなければならないのが大腸ガンです。直腸などにできたガンによって便の通り道が狭くなったり、閉塞してしまった結果、このような細い便になってしまうからです。

 また便が太くて硬く、腹部に膨満感があり、便秘している便が体の外から触っても分かるような場合は、糖尿病、甲状腺機能低下症、低カリウム血症などが疑われます。大腸の蠕動運動の低下によって便が運ばれにく くなり、その結果、大腸の中で便の水分が吸収され過ぎるために、こうした症状が出てきます。

 便秘というと、つい軽視されてしまいがちですが、このように重大な病気が潜んでいることがありますから注意が必要です。また便秘になったからといって安易に薬に頼るのも避けたほうがよいでしょう。下剤による排便がくせになると、体の自然のメカニズムによる排便がますます難しくなってくるからです。