小麦色に焼けた肌は健康的ですが、それも過度になると皮膚に異常が出て来ますので、注意しなければなりません。人間の体には、太陽光線の中にある紫外線を浴びても、それをちゃんと食い止める力が備わっています。ここで有害な紫外線をブロックしているのが、皮膚の角質や表皮細胞の中にあるメラニン色素です。しかし紫外線の質や量によっては、ここでブロックすることが出来ず、表皮の下にある真皮まで到達してしまいます。この結果できた物質によって真皮の血管が披張して充血が起き、外から赤く見えるようになるのが、日焼けの第一段階の日光皮膚炎です。
皮膚が赤くなって、軽い痛みがある程度であれば、そのうちに治まってきますが、これがひどくなると、全身にむくみが出たり、脱水症状を起こしたりといった全身症状が出てきます。この場合は、早く処置しなければ危険な状態になります。
海水浴などで日焼けをしても、若いうちなら、秋になれば肌はもとの状態に戻って行きます。ところが25歳を過ぎるころから皮膚の回復能力が落ちて来て、様々な障害が出てくるようになります。
紫外線のダメージが蓄積し、増加したメラニン色素が皮膚にそのまま残って沈着してしまうと、しみになって残ります。また紫外線によって真皮の線維が変性し、これがシワの原因となってしまいます。一方、ちょっと日光に当たっただけなのに、すぐ日焼けした状態になることがあります。高血圧の治療薬である降圧剤や糖尿病の治療薬である抗糖尿病薬などの薬を服用している場合、その薬と太陽光線とが相互に作用して過剰な日焼けを起こす、光線過敏症という病気のおそれがあります。こんな症状が出た時は皮膚科で診察を受け、何が原因かを調べる必要があります。その際は服用している薬を持参して、その服用状況などを詳しく伝えて下さい。