ヘマトクリッ卜とは、「血液を分離する」という意味のラテン語からきている言葉です。 この検査では血液を細いガラス管に詰めて5分間遠心分離器にかけ、血漿と血球成分を分 離し、全体量に占める血球層の高さ(%)を調べます。血球層は赤血球、白血球、血小板からできていますが、白血球と血小板の容積は赤血球の1%に過ぎません。そこで、ヘマトクリットはほぼ「赤血球容積」とみなすことができ、赤血球数の算定より検査方法が簡便であるため、貧血のおおよその見当をつけるのに広く用いられています。
赤血球数。ヘモグロビン量、へマトクリットの三つの検査値は、絶えず相互に比較しながら読むことが大切です。これらの比較によって、どんなタイプの貧血なのかが、かなり明確に鑑別可能となります。病院でよく用いられるのが、へマトクリット値と赤血球数から算出されるMCV(平均 赤血球容積)、ヘマトクリット値とヘモグロビン量から算出されるMCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)、それにMCH(平均ヘモグロビン量)の三つの数値です。
例えば、MCV は赤血球1個あたりの容積を表わしているので、正常値(89~99fl)より高いか低いかで、大球性貧血と小球性貧血を鑑別できます。大球性であれば悪性貧血や葉酸欠乏性貧血、小球性であれば鉄欠乏性貧血や慢性出血性貧血が疑われるのです。またMCHC(正常値31~36%)は単位容積に含まれるヘモグロビンの量を表わし、MCHとともに、高色素性貧血と低色素性貧血の鑑別に役立ちます。
検査表に赤血球恒数と書いてあったら、これらの数値のいずれかを指していると考えて下さい。MCV、MCHCがともに低い場合は鉄欠乏性貧血など、MCV、MCHがとも に高い場合は悪性貧血など。