近代の社会は、何時も「個」を中心に考えてきました。個の力を強くし過ぎたために、公害などの問題が発生しました。しかし生物系を謙虚に見つめますと、常に個と全体のバランスがとれています。今までは、自分のエゴを発展させることが幸せにつながると思われてきました。しかしそれだけが発展すると、周りはもちろんのこと、その本人自身も幸せにならないとわかってきました。様々な歪みを生み出してきたのです。だから、これからは、皆と一緒に楽しもうという心が必要です。それが世界の平和につながります。

21世紀は、「個」から「全体」への時代だと思います。学問も、専門だけでは解明できなくなってきました。色々な広い知識が求められます。組織も産官学が協力して、先端学際領域を研究するようになってきました。これからは「モノからこころの時代」と言われています。自分はサムシング・グレートによって生かされていて、全体の調和の中で生きているということを実感することでしょう。大きな力に包まれていると感じることが安心を生んでいるのです。常に個人の立場のみから考えずに、全体や仲間を意識して生きること、そういう心を開発すれば心身ともに満足できると思います。そうすれば皆とともに生きて働き、共に喜べる幸せな暮らしとリズムが生み出せます。

人生の喜びは、それぞれの可能性が全体の調和の中で花開いてこそ味わえます。自分に与えられた可能性をいかに活かすか、大きく花開くことを目指して、個人と全体がダイナミックにいきいきと生きていく、それが何よりのより良い暮らしではないでしょうか。

考えてみますと、細胞一つでも全宇宙ほどの不思議さと神秘さがあります。それらによって、今生かされていることは不思議そのものです。だから生きるとは何か?人間とは何か?と問われれば、「分かりません」と答えるしかありません。分かりませんが、同時に尊いものです。そういう命を与えられたことに対して、人間として生まれて来たことに対して、改めてサムシング・グレートに感謝しなくてはなりないと思います。

すぐ分かった気持ちになるような軽薄さを捨てて、安っぽく物事を考えないと「分からん」ということが分かってきます。科学することによって、宗教性が見えてくるという謙虚さが必要です。分かったつもりではなくて、本当に分かるように努力し、感動すること。そうすれば、分からないということが分かってきます。

私たちはサムシング・グレートのお陰で、生かされて、生きているのです。これが本当に自分で納得できた時に、誰にもイキイキ・ワクワク生きられる能力を待っていることが分かります。それが自分で自由に出来る、自分の考え方次第だということです。