二百海里問題で日本のサケ漁場は年々狭められ漁獲量も減ってきたので、それを打開するために盛んになったのが北海道でのサケの養殖と放流で、孵化した川への回帰率は3%にまで上がり、放流サケ数が増え回帰サケの漁獲量も增えたのだが、太平洋での餌場が限られているために育ちが悪くなり小型化した。そこでもし三倍体の稚魚が放流されると、ぐっと大きくなって帰って来るはずだ。
新潟県長岡市「オンスイ」養殖所では三倍体ギンマスが、栃木県中禅券湖ではニジマスとヒメマスの三倍体魚が研究され、アマゴでも三倍体魚が開発された。
さて、三倍体は魚ばかりではなく貝も研究されており、愛援県の水産試験場ではアワビやアコヤ貝の三倍化が進み、高級品のアワビを大型化することで、値段が下がり、味も濃厚になると期待されている。また、カキは生殖器が発達すると肉質が落ち産卵後死亡することが多いため広島県や宮城県では三倍体カキの実用化を検討している。この他にもドジョウ、ウグイ、ヒメマス、銀ザケ、カレイ、夕イ、フグ、アワビ、トリガイなど殆どの魚貝類について研究されている。バイオ魚は地球に生命が誕生して以来、35億年にわたって自然に存在してきた普通の魚とは外観は同じでも中身は違っている。これら人工の三倍体魚は水産庁利用要綱で河川放流はできず、実用化しても養殖に限られるはずだ。