現代医学の診断法の落とし穴は、医者が、人間の異常にではなぐ、検査結果の異常に対処することだけで済ませてしまいがちになるところにあります。はっきりとした診断がつかない場合、症状があいまいな場合は、検査数字の上で何らかの異常が出てくるまで検査され、その検査結果を是正するような方向で治療をほどこされます。

さらにひどいのは、その治療自体が原因となって次の治療を必要とするような症状を作り出すことです。そうなると、またもや検査、検査、検査ということになります。

こうした診断の方法にも、もちろんそれなりの価値はあるでしょうが、やはり行き過ぎはいけません。正しい知識と経験を活用すれば、より安全で安価な、効果も決して劣らない単純な診断が出来るのに、新しい方法に頼り過ぎるのも問題です。

現在の病院医学と医学教育でのテクノロジー信仰のため、多くの人々が、旧式の診断法は科学性に焚け、従って信頼性に欠けると信じ込んでしまっています。そして、機械操作に長ける医者ばかりが重要な位置を占め、彼らは投薬と手術によって解決を図ろうとする傾向があります。

いわゆる「医原病」の大半は薬の副作用から生じています。

現代医療を信奉している患者は、誰でも遅かれ早かれ、医原病にかかると言っていいほどです。医原病には、吐き気やじんましん、眠気などの軽度のものから、器官の永久的損傷といった重度のもの、さらには死まで含まれますから、恐ろしいことこの上ありません。

現在、今必要な診断は、患者の病歴の問診、物理的検査、化学的検査で成り立っています。前述しましたように、優れた医者は患者から情報を引き出すコツを心得ています。「質問が適切であれば、患者は医者に代わって自分の言葉で正しい見立てをしてくれます」。

観察力と直観力により重点を置き、常に間違えない診断を下す本当の医者が仕事をする環境でなくなっているのは、人間にとって重大な損失であることを自覚しなければなりません。

現代の医者のほとんどが、病気の特異的、物理的な動因の証明やその動因を押さえ込む個別的な治療法に関する、膨大で煩維なデータに振り回されていて、健康についての明確な概念が欠けているために、大部分の医者が、健康ではなく病気のことばかり考えるようになってしまっています。

これに対し、体の健康について、「真実を追求して、患者に本当のことを伝え」病気に悩む人のコンディションが常に変化する肉体と、揺れ動く感情を持った人間としての扱い、病気の回復に必要な内分泌物をすみやかに誘発させ、それによって病気の根本原因を無くしてしまう、間接的な方法で消滅させて、しかも早期に高率の治癒をもたらす「患者本位の病原根本治療法」、言ってみれば人間をより尊重した治療法をとることです。

正しい知識と経験を活用し、観察力と直感力に裏打ちされた知恵に重点を置いて、常に的確な診断を下す姿勢を持った医者との出会いが私たちの健康管理に必要です。