よく仙人はカスミを食って高地に住んで居ると言う話が事実であることが、ニューギニアの高地のパプア族の生活から実証されている。何故この話を出したかというのは、人間にとって不可欠な生活維持条件としての、炭水化物・アミノ酸・ミネラル・ビタミン等と共に、酸素や窒素も必要であり、これについてバプア族は普段はサツマイモを食べており、肉や魚、卵など動物性食事をほとんど摂らないが、それでも彼らは丈夫な体格をしており、よく働く。サツマイモの窒素量は少なく、一日に摂取する窒素量は大人で約2gという。ところがパプア族が、便、尿などの一日に排泄する窒素量は、食べた量の約2倍あるという。どこからこの窒素が摂られたのかについて、色々な学説があるが、ここでは「体の仕組みという点」からに限定して考えてみる。
食物や水に溶けた空気中の窒素ガスが、消化管の中に住み着いた窒素固定菌という細菌によって、人間が利用し身に付けることができる形の窒素化合物(タンパク質)に変えられているのではないかという。だが窒素ガスは水に溶けるが、その形では人間は利用することができない。
パプア族の便を調べたところ、クレプシェラ菌とエンテロバクターが検出された。これらの菌が、食物の中に溶けた窒素ガスからタンパク質を合成していたというわけである。