胃の中はなぜ酸牲なのか?もし中性か、アルカリ性であれば、胃は一日で腐ってしまうだろう。無酸症といって、正常な量の胃酸が出ない人がいるが、それでも必要最低量の胃酸は出ているはずである。細菌は酸性に弱い。もし胃が中性から弱アルカリ性なら、食事の栄養分もある影響で細菌は爆発的に増殖する。理想状態で、最近は20分間で1回分裂して、1個が2個になる。理論的には一昼夜で、1個の細菌がなんと472×10の19乗個という途方もない数に増えるのだ。この調子なら、どんなものでも腐ってしまうだろう。

食事や薬は、胃という大きな洞窟であちこち押され、もみくちゃにされて、その上、消化液で酸性にされて、溶かされ、さらにこなされる。一定の大きさにこなされると、やがて腸というトンネルに入る。腸は上から順に四種類あり、十二指腸、小腸、大腸及び直腸だ。この中を食べ物や薬が移動していく原理は、ちょうど、ミミズの動きと同じである。腸があのような「蠕動運動」をすると、中の食物は、次第にS字結腸のほうへ移動する。十二指腸では、胆汁や膵液が分泌される。胆汁はアルカリ性だ。だから、胃で酸性になった食べ物はここで中和される。

胆汁はそのほか、胆汁酸塩、コレステロール及び酵素などを含む。また、膵液には色々な消化酵素が含まれている。食物や薬が、胃から十二指腸へ移る時、食物や薬は幽門部(胃から十二指腸へ移る部分)から勢いよく出て来て、いったん、十二指腸の奥深くまで進入するが、ふたたび幽門部の近くまで引き戻され、ここを何回か往復する。